木こりに出た村人五人のうち一人だけが
どんな伝承か
『古今妖魅考』に、下総の国香取郡万歳の後山へ、村の者ども五人が連れ立って木こりに行ったときのことが載っている。少し傍らの山の端に、常のものよりは汚らしく見えるものが一つ、羽を休めていた。それを見て、五人のうちの一人が、恐ろしげな山伏が立っていると言い出した。ところが他の四人の目にはそうは見えないので言い合いになったが、その一人だけは、確かに山伏なる者だと言い張って、四人の言うことを聞き入れなかったという。これは全く、その一人が妄覚幻視を起こしたものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・明治(妖怪学))
『妖怪博士』井上円了による『迷信の諸相・宗教の真相』。迷信を道理に背くことを誤って信じる心理と定義し、妖怪学の立場から全国を巡遊して各地の迷信を実地に報告・批判する(迷信打破)。