熱田神宮に飛来した伊勢の神
どんな伝承か
応永二十六年七月、名古屋の町を暴風雨が通り過ぎたあと、熱田神宮近くの海面が二十町余りにわたって光り輝き、やがて光は一つに集まって社殿へ飛び込んだ。数日後、一人の少女に神託が下り、光は伊勢神宮の神で、穢れた伊勢山田を離れて熱田に移り、国難について神々と相談しようとしているのだとわかった。このように神がよそから飛んで来ることを飛来神と呼び、伊勢の神は若狭の小浜や京都の吉田山にも現れたと伝わる。仏も空を駆け、東京台東区の正宝院の不動明王は一夜で大和の大峰山から飛来したとされ、飛び不動と呼ばれる。
原典より
不思議に思っていると、光は集まって熱田神宮の社殿に飛び込んだ。—— 呪術と占いの日本史(渋谷申博・瓜生中・呪術・占い史・1992年(平成4年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
呪術と占いの日本史(渋谷申博・瓜生中・呪術・占い史・1992年(平成4年))
『呪術と占いの日本史』は、渋谷申博・瓜生中が平成四年に著した日本呪術史の概説書である。縄文の屈葬や土偶、卑弥呼の鬼道から中世の呪詛、近世のおかげ参りと「ええじゃないか」を経て、明治の神仏分離と修験・祈禱の禁止までを、記紀や史書の記事と民俗の断片から拾い上げる。古代・中世二章・近世の四章を小項目に分けて立て、表の歴史に現れない民間信仰を「闇」の系譜としてたどる。