般若寺の木仏から授かる銅貨
どんな伝承か
長南家はもと鶴岡町般若寺裏、最上町の矢場小路にあった。年恵の父は早く死に、兄が家を継いだが産を治めるのが拙く、やがて家屋敷を売り払って同じ般若寺裏の小竹という家に間借りし、後に向かい側の巡査千葉寛敬の家に同居した。千葉の妻初江によれば、年恵が来てから一年ほど同居していたが、最初の頃は肉体が弱く、一日に鶏卵一、二個ほどしか食べなかった。年恵はまたよく神のお告げを受けた。ある夜、年恵は初江に向かい、今夜は般若寺の木仏様からお授け物があるから一緒に行きましょうと誘った。同行してみると、一銭銅貨を紙に包んだものが二包ほど置いてあり、それを戴いて帰ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。