団子を呑んだ角木の大岩魚
どんな伝承か
水無川の支流の沢沿いに角木という小さな集落がある。むかし村祭りの支度に、若い衆が沢の奥へ岩魚を取りに入り、毒もみをしようとしたところ、一人の僧が現れてそれだけはやめよと諭した。昼になって弁当を開き、粟や餅の団子を分けてやると、僧は一つずつ丸のまま飲み下し、重ねて思いとどまるよう言い残して去った。それでも若い衆は毒を流した。深い淵から一メートルを超える岩魚が浮かび、腹を裂くと団子がそのまま出てきたので、あの僧の正体を悟って悔やんだ。以来この集落では岩魚を取らなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説(田島町(編)・田島町史)
『田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説』は、会津の田島町の町史のうち民俗を扱う巻の、伝説を論じた節である。針生・糸沢・金井沢・折橋などに伝わる岩魚の棲まない沢、ダイタンボウの足跡、弘法清水、竜燈、天狗隠し、河童駒引き、アズキトギなどの伝説を、土地の言葉を交えた語りで載せる。自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分けて動物・地形・地名・人物・幽霊・妖怪変化などの項を立て、各話のあとに伝説の型や会津の類例を論じる。