大食いを招くエヅナ憑き
どんな伝承か
青森県八戸の近郊にある是川村では、戦後になって狐憑きの騒ぎがしきりに起こり、鼠より小さいくらいの獣がぞろぞろ出たという。天狗沢の女の神様に占ってもらうとエヅナの仕業と出たが、村人はそれを村に住む一人の老人のせいにした。老人はもとはかなりの家だったが落ちぶれ、他家に身を寄せていた。エヅナを見た人によれば、大きさは三、四寸、尾は箒のように先が荒く、指は五本で人の手のようだった。憑かれるとあらぬことを口走り、飯を七、八杯も平らげ、りんごを一日に一貫目も食べ、米や味噌にも憑いて減らしたという。
原典より
そいつが憑くと、あらぬことを口走るようになり、飯は七杯でも八杯でも食い、リンゴは一日に一貫目ぐらい食べてしまう。—— 日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。