磐梯山を七巻き半した大蛇の尾
どんな伝承か
はるかな昔、磐梯山には大蛇が棲みついていたという。その体はあまりに長く、山をぐるりと七巻き半もして余るほどだった。頭が置かれていたのが「とう寺」と呼ばれる土地、尾のあった先が今の大寺のあたりだと語られている。尾のある場所に寺が建てられたので、そこは尾寺と呼ばれ、それが訛って大寺になった。頭の側は頭寺と呼ばれていたが、こちらもいつのころからか塔寺という字に変わったのだという。磐梯山麓の二つの地名の由来を、一匹の大蛇に結びつけた話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
磐梯町史 民俗編――伝説と昔話(磐梯町(編)・磐梯町史)
『磐梯町史 民俗編――伝説と昔話』は、会津の磐梯町が編んだ町史の民俗編で、口承文芸の章の「伝説と昔話」の節にあたる部分である。磐梯山を七回り半巻いた大蛇の尾寺、弘法大師の梵字清水、井戸の精が嫁に来る赤枝の話などの伝説と、猿の嫁取り、山姥、笠地蔵、ノッペラボウの度胸ばなしなどの昔話を書きとめる。伝説と昔話の二つに分けて題を付して並べ、昔話は「むかしむかしあったどよ」と始まる土地の言葉の語り口を残す。