牛追いの姿を残す磐梯山のベコ雪
どんな伝承か
その日は朝から晴れていた。朝食を終えた人達が田に出て仕事に取りかかったころ、地中から地鳴りがして不気味な振動があった。地震だとみんなが気づくと間もなく、地面が揺れ鳴動が起こって、磐梯山が破裂した。生き残った人達が目を覚まして磐梯山を見上げた時には、変わり果てた山の姿があった。それから何日か経って、山に牛を曳いて登っていった牛追いのことを思い出したが、いつまで経っても帰ってこなかった。村の人達は、きっと山の爆発の時に地下に埋まってしまったのだろうと思った。その後、山の中腹に牛の形をした雪形が残ることに気づき、あの時牛追いと一緒に埋まった牛の姿だといって、ベコ雪と呼ぶようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
磐梯町史 民俗編――伝説と昔話(磐梯町(編)・磐梯町史・自治体史(民俗))
『磐梯町史 民俗編』第10章口承文芸所収の伝説と昔話。福島県磐梯町(会津・磐梯山麓)に伝わる口承を採録する。磐梯山を七回り半巻いた大蛇の頭と尾にちなむ尾寺(大寺)、大同二年に弘法大師が三鈷を投げて鎮めの寺を定めた梵字清水、弘法さまとあさづき、磐梯山が破裂したベコ雪、井戸の精が美女に化け切ると大蛇だった赤枝の蛇女、入口を叩く猿のよめとり、欲深を戒める山姥、笠地蔵、会津平を救った弘法清水、目鼻のないノッペラボウの度胸ばなしなどを収める。