畑に竹を挿す葉山の地神講
どんな伝承か
相模平野の農村には地神講があり、春と秋の社日に地神をまつる。部落の組を単位に行われ、農事の祭とみなされてきた。三浦半島の葉山あたりでは、その祭日に畑の中へワガナという竹を挿す風習があり、この日は畑へ入るものではないという。葉山のチチン講は三月と九月の社日で、宿は回り持ち、百姓の祭と呼ばれ、互いに招き合って赤飯や握り飯を食べる。ワガナには竹のほか茅を結んで曲げたものもあり、忙しい地神様の腰掛けだと説く一方、土地を清めるためだとも言われる。その日は畑が地神の占有になることを示す、一種のシメであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史)
『神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話』は、県史講座要録の県下の民俗篇に収められた、中村亮雄による講述「伝説と昔話」である。柳田国男の白米城伝説の研究を手がかりに、三浦半島の二反ヶ城、鶴見の見返し坂、湯河原の石橋山合戦の伝承など県内の伝説を取り上げ、藤沢・津久井・平塚などの昔話や笑話、世間話を紹介する。「はじめに」「伝説」「昔話」「あとがき」の四節からなり、昔話は本格昔話・派生昔話・笑話の別に沿って類話を並べる。