隣家の火事を告げるモエカビ
どんな伝承か
秦野で語られる怪火には人魂・火の玉・カネ玉があり、人魂はモエカビとも呼ばれた。これらは狐火とはつき方が違うといい、人魂は「隣が燃えたもの」と解された。戸川では家が燃えたのをモエカビと言い、寺山では小雨の降る夜、向かいの墓地でぼかぼかと火が立つのを何人もが見たと語られる。カネ玉は人魂と違ってすーっと飛び、色も違い、落ちた家は富み栄えるという。鶴巻では終戦後、カネ玉が飛んで落ちたという話が盛んに語られた。土葬した遺体から燐が出てブカブカと燃えるのだという説明も伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。