茶が黒くなると告げて代参料を取った六部
どんな伝承か
昔、落武者だか六部だかという者が家へ来て泊まり、いろいろと話をしていた。語り手の父親が、四国の金比羅さんはありがたい神だと話したところ、茶を何度注いでも、ほかの者の茶は澄んでいるのに父親の茶だけが黒くなった。六部は、これは金比羅さんが怒って早く来いと言っているのだと告げた。だが昔は歩きだから、二か月も三か月もかかって行き来などできない。自分は四国の金比羅の門前に住んでいるから代わりに参ってやると言われ、そのかわりに昔の銭で二円か三円を取られた。世を渡っていくには金も要るから、そう考えてごまかしたのだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。