泣いて倍の駄賃を取った馬方の小僧
どんな伝承か
昔、十日市場のほうから富士山や大山へ参る道者が大勢通り、その馬方をして賃金を得る人々がいた。十二、三歳の小僧が終点までの賃金を決めて道者を馬に乗せて行ったところ、着いたとたんに「決めた賃金を払ってくれない」と大声で泣き出した。周囲の者は「子供がうそを言うはずがない」とあおる。道者は仕方なく、決めた額の倍の賃金を払わされてしまった。子供を泣かせておいて賃金を取る、賢い者にはかなわないと峠の話者は語る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。