落武者が背負ってきた波多川の石地蔵
どんな伝承か
波多川の地蔵堂に祀られている石の地蔵は、箱根山の岳の下の戦いで足利尊氏方に敗れた新田義貞軍の落武者が、背負って運んできたものだと伝えられる。その落武者は、討ち死にした味方を供養するための石地蔵とともに各地を流れ歩き、やがて波多川で一夜を過ごした。翌日は森戸のある家に足を止めたが、これより奥の山中には人家もないと諭され、ふたたび波多川へ引き返して、人目を避けながら暮らしたという。その子孫はいまも続いており、家の老人がこの由来をたびたび語っていたと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。