小野小町と小野川の片葉葦
どんな伝承か
承和五年、出羽の郡司であった小野良実の消息が絶えたのを心配して、京から娘の小野小町が訪ねてきた。吾妻山を越えて米沢にたどりついたが、病のために倒れ、薬師の霊夢をたよりに川辺に臥して川面に顔を映すと、それは鬼の面そのものであった。ここから「鬼面川」と呼ぶようになったという。そこで出会った白髭の老人にこの奥に出湯があると教えられ、立ち上がったときに着物の袖が葦の葉にかかって葉が散り、片葉の葦になってしまった。ようやくたどりついて体を休めた所が小野川温泉だといい、老人は日頃念じていた薬師如来の化身であったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。