六十年の天候を記す東方朔秘伝遺文
どんな伝承か
天候は一年ごとに決まるだけでなく、六十年でひと巡りすると考えられていた。米沢市の塩野には「東方朔秘伝遺文」という書付が伝わり、甲子の年は三月に水が出て夏は日照りが続くが、秋は風が吹いても田畑の実りがよく、麦や蚕もよい、ただし盗人と火事に用心せよ、といった調子で、六十年分の年ごとの天候と作柄が記されている。虹や雷、雲の様子から雨風の吉凶を知る法や、毎月決まって風雨のある日も書き留められていて、おそらくワカに占ってもらったものだと言い伝えられている。
原典より
一年間に限らず、「東方朔」によれば、六十年の周期で天候が決まっていると考えられていて、…—— 置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正・湯川洋司・戸川安章が項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・不動・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや家伝の書付、近世の記録を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「仏・地蔵」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。