有日上人の産湯の井戸と火伏
どんな伝承か
壬辰は水が勢いよく飛び出すことを連想させ、火伏につながると考えられてきた。旧暦二月の壬辰の日には今もあちこちで火伏の所作が行なわれる。長井市東五十川の村上家の裏側にある清水は「有日上人産湯之井」と呼ばれ、長井市宮の真言宗遍照寺中興の祖である有日上人が生まれたとき、この井戸の水で産湯を使ったと言い伝えられている。上人は祈祷力が抜群で特に火伏祈祷に強かったため、この水を壬辰の日に汲んで屋根や建物にかけると火事にあわないと信じられ、今も近郷から水を汲みに来る。長井市境町の常楽院の井戸も上人終焉の井戸として火伏になるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活・民俗調査)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)』所収の禁忌・卜占・予兆・生活の中の神々・死霊。山形県置賜地方に伝わる民間信仰を採録する。