後醍醐天皇の杖が根づいた柳
どんな伝承か
蜂屋町下蜂屋に天神神社というお宮がある。昔、後醍醐天皇が蜂屋を訪れ、千町宮内左衛門に命じて社殿を新しく造らせた。そのとき天皇が道端に突き立てておいた杖がいつのまにか根づき、大きな柳に育った。柳はいったん枯れたが、株の脇から芽を吹いてまた大きくなり、いまも桑下に残っている。昔その辺りは稲こきに使う広場で、柳の下の祠は天神神社の祭りのお旅所となり、雨乞いのときには村人が集まって鉦や太鼓を打ち鳴らした。天皇が柳の所から北西の山を指して社の場所を決めたのが今の天神神社で、天皇に水を差し上げた田の中の湧き水は柳井戸と呼ばれるという。
原典より
そのとき天皇がついておられた杖を、道ばたにさしておかれたところ、いつの間にか根づいて、やがて大きなヤナギの木となった。—— 美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史)
『美濃加茂市史 民俗編――伝説』は、美濃加茂市の市史民俗編のうち、第一三章「俗信」と、第一四章「伝説 昔話 世間話」の総説および第二節「伝説」を収めたものである。天候・農事・人事にかかわることわざと俗信、民間療法、樹木の禁忌を挙げたうえで、伊深・蜂屋・太田・三和など市内各地区に伝わる三度栗、龍宮さまの淵、火塚、山男、かぶと淵などの伝説六十四話を記す。昔話・世間話の節は含まず、伝説の多くは題に伝承地区の名を添える。