謎の歌をたどる家老の娘
どんな伝承か
小沢に住む新岡シナが、昔話を語ってほしいという求めに応じて最初に語ったのが「家老の娘」の話であった。分類でいう「播磨糸長」の型の昔話で、女の残した謎の歌を頼りに男が女を尋ねてゆくという内容である。子どもの頃に数多く聞いた昔話のうち、もっとも印象に残っているのがこの話だという。シナは兄弟姉妹の長女で、いつも弟や妹を背負って子守りをさせられた。晩になると囲炉裏のそばで裁縫をする母親が、子守りにあきないようにと次々に昔話を語ってくれ、今も覚えている話だけで二十話を越えるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史)
『脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承』は、下北半島の最西端にある脇野沢村の村史民俗編のうち、口承文芸を扱った第七章である。村で採集した一一七話の昔話の特色と語りの場・語り手、地名をめぐる伝説、人を化かすキツネや狐の嫁取り・仇討ちの世間話、夢の予兆をめぐる伝承、天候や豊漁・豊作の諺を収める。章を昔話、伝説と世間話、諺と言葉遊びの三節に分け、昔話には『日本昔話大成』の話型分類による対照表を付す。