催眠の弟子が言い当てた失踪先
どんな伝承か
催眠術の先駆者のひとり小野福平が報告した実験。ある商家の息子が五百円という大金を持って行方をくらまし、両親から捜索を頼まれた小野は、弟子を催眠状態に入れ、お前は神になった、神は人を超える力を持つのだから何でもわかると暗示をかけて、その男の居所を尋ねた。弟子は三分ほど黙り込んだのち、厳かに答え始める。本人は大阪におり、十八、九と三十一、二の女二人が同行しており、金は七、八十円しか残っていない、居場所は大阪市東区瓦町の西洋洗濯屋の二階だという。大阪の知人に電話して捜させると、告げた通り男は見つかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊術家の饗宴(井村宏次・井村宏次・霊術研究・1983年(昭和58年))
『霊術家の饗宴』は、井村宏次が一九八三年に著した近代日本の霊術家の歴史である。明治から昭和初めにかけて、気合術・催眠術・霊子術などで民衆の病や苦しみを救おうとした霊術家たちの運動を、当時の新聞記事や刊行物、関係者の家族への取材をもとにたどる。プロローグと六章、エピローグからなり、浜口熊嶽、桑原天然、福来友吉と千里眼事件、太霊道の田中守平を章ごとに取りあげ、霊術ブームと取締法による衰退までを描く。