亡者船を鎮めた弁天島の像
どんな伝承か
田村麻呂を追った女が弁天島の向かいの岸で死んで以来、この海に亡者船が出るようになったという。困り果てた漁師のために藤原某という者が像を刻み、弁天島に祀ったところ、亡者船は姿を見せなくなった。その像はのちに流され、九艘泊に流れ着いて神社に祀られたとも伝わる。亡者船とは、誰も乗っていない船が明かりを灯して高速で走るもの、すなわち幽霊船を指す。風のない雨の日、杉皮で編んだケラをまとった者が船上に立つのが亡者で、船に海水を入れると恐れられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史)
『脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承』は、下北半島の最西端にある脇野沢村の村史民俗編のうち、口承文芸を扱った第七章である。村で採集した一一七話の昔話の特色と語りの場・語り手、地名をめぐる伝説、人を化かすキツネや狐の嫁取り・仇討ちの世間話、夢の予兆をめぐる伝承、天候や豊漁・豊作の諺を収める。章を昔話、伝説と世間話、諺と言葉遊びの三節に分け、昔話には『日本昔話大成』の話型分類による対照表を付す。