蛇を切り刻む夢とソリ転落での生還
どんな伝承か
脇野沢では蛇を沖言葉でナガモノ、山言葉でナガムシと呼び、夢に現れると縁起が良いとされた。冬、薪出しのために木を満載したソリが坂道を下り、曲り角に差しかかったところで沢へ転落した。舵取り役は歩いて制御すべきところを坂のためソリに乗っており、曲がりきれなかったのである。ソリの転落では体にかけた綱がはずれず下敷きになって死ぬことが多いが、このときは偶然に綱がはずれ、二人とも雪の上に投げ出されて傷らしいものも負わなかった。転落したソリを見ると、木を縛った綱が何ヵ所もブツブツに切れていた。前の晩、腰のナタで蛇をブツブツに切り刻む夢を見ており、その切れ具合が綱の切れ方とちょうど同じであったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史)
『脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承』は、下北半島の最西端にある脇野沢村の村史民俗編のうち、口承文芸を扱った第七章である。村で採集した一一七話の昔話の特色と語りの場・語り手、地名をめぐる伝説、人を化かすキツネや狐の嫁取り・仇討ちの世間話、夢の予兆をめぐる伝承、天候や豊漁・豊作の諺を収める。章を昔話、伝説と世間話、諺と言葉遊びの三節に分け、昔話には『日本昔話大成』の話型分類による対照表を付す。