河童が詫びに差し出した杯
どんな伝承か
昔、橋本家の先祖が、永谷の橋本館の館主橋本右近の馬係をしていたときのこと。馬を洗うために川へ入って洗っていると、馬が俄かに驚いて跳ね上がった。馬をおさえて足もとを見ると、カッパが馬の足に抱きついていた。馬丁がすぐに取り押さえ、「なぜいたずらをするのだ、これは殿様の馬だぞ、ただでは勘弁できない」と叱ると、カッパは平伏して「私の一番大切な宝物を差し上げますのでお許しください」と言い、杯を持ってきた。それが橋本家に先祖伝来として伝わる陶器の杯であるという。
原典より
昔、橋本家の先祖が永谷の橋本館館主橋本右近の馬係をしていた時、馬を洗うために川に入り、馬を洗っていると俄かに馬が驚きはねあがった。—— 船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史)
『船引町史 民俗編――昔話と伝説』は、船引町が編んだ町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。昭和五十三年春から町内を回って集めた昔話を話者の名を添えて土地の言葉のまま載せ、坂上田村麻呂や安倍貞任にまつわる地名・社寺の由来など町内の伝説を併せて記す。第一節では語り収めの句、葉煙草ののし作業を語りの座とした伝承の環境、語り手の系譜を論じ、第二節では伝説を自然・歴史・宗教の三つに分けて紹介する。