五円で唄を聞いた男と芸者の約束
どんな伝承か
貧しい家の息子が居候奉公で五円をため、親に渡そうと帰る途中、船引の橋のあたりで侍たちが芸者を乗せて船遊びをしていた。芸者の唄に心を打たれた息子は、その芸者を訪ね、ためた五円を差し出して唄を聞かせてもらう。芸者は三年たてば必ず訪ねると約束した。三年後、芸者は瘡かきのような汚い姿でやって来たが、母親は嫁にできぬと思い、息子は死んだと偽って墓を教えた。胸騒ぎで戻った息子が墓場へ走ると、芸者は簪で喉を突こうとしていた。息子はこれを止めて家へ連れ帰り、二人は睦まじく暮らしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史・自治体史(民俗))
『船引町史 民俗編』第十一章所収の昔話と伝説。福島県船引町(現田村市)に伝わる口承を採録する。