下肥を用いぬ北鹿又の地蔵田
どんな伝承か
田村郡船引町の北鹿又大山の地区に大広山神社がある。地区では通称して太子様といっている。本殿には太子像と地蔵像が並んで安置されており、地蔵像は木彫で高さ五十センチメートル余り、赤い頭巾とよだれ掛けを着けられている。子供の好きな仏で、昭和の初め頃までは子供をおんぶして遊ばせてくださったのだという。この仏は昔、現在地から東方百二十メートルほどの北鹿又字大林の地中から発掘され、この太子堂に祀られたものだと伝えられる。掘り出された所は二坪ほどの耕地の一部だが、仏様に恐れ多いとして、地主の家では地蔵田と呼び、下肥を一切用いずに耕作しているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史)
『船引町史 民俗編――昔話と伝説』は、船引町が編んだ町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。昭和五十三年春から町内を回って集めた昔話を話者の名を添えて土地の言葉のまま載せ、坂上田村麻呂や安倍貞任にまつわる地名・社寺の由来など町内の伝説を併せて記す。第一節では語り収めの句、葉煙草ののし作業を語りの座とした伝承の環境、語り手の系譜を論じ、第二節では伝説を自然・歴史・宗教の三つに分けて紹介する。