弘法大師の木像漂流縁起
どんな伝承か
川崎大師として知られる平間寺の縁起を本書はこう紹介する。弘法大師が唐に留学していたとき、四十二の厄除けのために自分の木像を刻んで海に流した。像は中国の海から太平洋へ漂い、黒潮に押されて都合よく東京湾に流れ込み、大師の夢のお告げを受けた川崎あたりの漁夫が網で引き上げた。これが平間寺の本尊だという。ただし本書はこれを、昔の住職が参詣者を集めるために作った由来記だろうと見ている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年))
『日本の俗信 1――迷信の実態』は、迷信調査協議会が編み、昭和二十四年に初版を出した迷信調査の報告書で、昭和五十四年に洞史社が復刻した。文部省が昭和二十一年に企画し、全国の小学校を通じて行った慣習状況調査をもとに、暦・日の吉凶・方角・妖怪・占い・民間療法・農漁業にまつわる迷信を統計と解説で扱う。第一章を古畑正秋・今野圓輔らの分担執筆とし、第二章に昭和二十四年度調査の手引、第三章に各地の言い習わし集、第四章に天文暦法の迷信の解明を置く。