虚空蔵の郷社ゆえウナギを食わぬ町
どんな伝承か
田尻町からの問いとして、次のような相談が寄せられた。町には郷社として虚空蔵菩薩様が祀られているので、町民はウナギを食うべからずとされ、田尻川のウナギも絶対に獲らない。また丑寅生れの人も、虚空蔵様は守り本尊だからウナギを食べない。自分も食べたことはないが、もしこれを犯すと神の罰や仏のお咎めがあるものだろうか、というのである。回答者の日野壽一は、虚空蔵は不動・文珠・大日・薬師・地蔵・普賢・観音などと同じく釈迦が考え出した架空の理想的人格であり、昔インドに虚空蔵という肉身の人間が生存していたのではないと説いている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 2――俗信と迷信(迷信調査協議会・日本の俗信・1951年(昭和26年))
『日本の俗信 2――俗信と迷信』は、迷信調査協議会が文部省への第二回報告書として編んだ答申書で、まえがきに昭和二十六年十二月の日付がある。迷信の定義や時代性、俗信と生活慣習の区別を委員たちが論じ、食い合わせや守札、憑きもの、河童の名称の分布、迷信による殺人の精神鑑定例などを取り上げる。総論と座談会、各論、結婚・妊娠の迷信の解明、新聞の社説・投書を集めた附録の四章から成る。