爪を火にくべると狂うという戒め
どんな伝承か
文部省が昭和二十一年に行った調査で全国から集まった約一千種の縁起・言い習わしのうち、禁忌を犯した際の制裁を種別した「気狂いになるもの」の項に、爪を切って火にくべると狂人になるという言い伝えが、福島県の農村ほか十四県から報告されたものとして挙げられている。同じ項には、鏡を表に向っておくと気狂いになる(滋賀)、ふかし物等をした湯で髪を洗うと気狂いになる(埼玉)が並ぶ。同書は別章でこの俗言を取り上げ、爪や髪にも霊があるとする考えや、火を神聖とする観念など六つの由来を挙げて論じている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 2――俗信と迷信(迷信調査協議会・日本の俗信・1951年(昭和26年))
『日本の俗信 2――俗信と迷信』は、迷信調査協議会が文部省への第二回報告書として編んだ答申書で、まえがきに昭和二十六年十二月の日付がある。迷信の定義や時代性、俗信と生活慣習の区別を委員たちが論じ、食い合わせや守札、憑きもの、河童の名称の分布、迷信による殺人の精神鑑定例などを取り上げる。総論と座談会、各論、結婚・妊娠の迷信の解明、新聞の社説・投書を集めた附録の四章から成る。