爪を火にくべると狂うという戒め
どんな伝承か
文部省が昭和二十一年に行った調査で全国から集まった約一千種の縁起・言い習わしのうち、禁忌を犯した際の制裁を種別した「気狂いになるもの」の項に、爪を切って火にくべると狂人になるという言い伝えが、福島県の農村ほか十四県から報告されたものとして挙げられている。同じ項には、鏡を表に向っておくと気狂いになる(滋賀)、ふかし物等をした湯で髪を洗うと気狂いになる(埼玉)が並ぶ。同書は別章でこの俗言を取り上げ、爪や髪にも霊があるとする考えや、火を神聖とする観念など六つの由来を挙げて論じている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 2――俗信と迷信(文部省迷信調査協議会・日本の俗信・昭和(1949-52))
文部省迷信調査協議会『日本の俗信2―俗信と迷信』(昭和24-27年)。シリーズ第二巻で、迷信の理論的考察と各論を収める。