蛇のお嫁さんになった話(蛇婿入)
どんな伝承か
父と三人の娘がいた。父が田へ行くと堤に蛇の穴があいて水が抜け、田が干上がっていた。穴をふさいでくれと頼むと、蛇は娘を一人嫁にくれるならと言い、父が承知すると泥で穴をふさいだ。翌朝、蛇に嫁げと言われた上の娘は父を叩き、中の娘は蹴ったが、末娘は望みの支度をくれるならと承知し、瓢箪と鉄と針千本を求めた。迎えに来た蛇に従う途中の池で、末娘は瓢箪を沈め鉄を浮かせてと頼み、蛇がどうにもできず大口をあけたところへ針を投げ込んで殺した。帰り道に迷って泊めてもらった長者の家で息子に見初められて嫁となり、子を連れて里帰りすると、姉たちは父への仕打ちの罰で手が曲がり、足が不自由になっていたという。
原典より
そこへ末の娘が千本の針をばっと投げこんだそうな。—— 長野県上伊那誌 第5巻 民俗篇――昔話・妖怪譚(上伊那誌編纂会・長野県上伊那誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県上伊那誌 第5巻 民俗篇――昔話・妖怪譚(上伊那誌編纂会・長野県上伊那誌)
『長野県上伊那誌 第5巻 民俗篇――昔話・妖怪譚』は、郡誌の第十章第一節「昔話 附妖怪譚」の冒頭部分を収める。序は、明治四十年の上伊那校長会の調査、荒井源司・宮下豊秀・有賀喜左衛門の採録、雑誌の所収分から百八十話を選んだと述べ、関敬吾編『日本昔話集成』に従う分類一覧に狐火・山姥・天狗などの妖怪譚の題も挙げる。本文は校長会報告の七話と伊那市手良で採られた五話の計十二話で、狐と狸の話、かちかち山、食わず女房、光前寺の犬の猿神退治などを含む。