甲状腺の薬で背が伸びた日吉津村の少年
どんな伝承か
鳥取県西伯郡日吉津村に、体の小さな少年がいた。鳥取大学医学部にたまたま入院してきたとき、少年は十七歳八か月になっていたが、発育は十歳ほどで、背丈は百二十五センチあまり、目方も二十七キロ半しかなかった。助教授の原田義道は甲状腺にかかわる内分泌をさまざまに調べ、その結果をもとに甲状腺のホルモン剤を五か月にわたって飲ませた。すると三か月目から骨の成熟が進みはじめ、昭和三十五年一月には背が一八・九センチ伸び、体重も一三・三キロ増えて、ほぼ年相応の体つきになったという。
原典より
なにしろA少年は十七歳八ヵ月にもなって、十歳程度の発育。—— 日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、暮らしの奥に秘められた信仰や伝承を扱った全集『日本人物語』の一巻である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使いと犬神落とし、生霊、隠れキリシタンや隠し念仏などを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。