置いてけ堀を筆頭にした本所の七不思議
どんな伝承か
江戸から明治にかけて、本所の一帯では七不思議が語られた。夕暮れに魚籠を提げて堀端を通ると闇から声がして、聞き流して帰れば魚が消えている置いてけ堀。誰も叩いていないのに遠く近く響く馬鹿囃子。追いつこうとしても追いつけない送り提灯。常緑樹なのに落葉しないと騒がれた椎の木。板木ではなく太鼓を許された津軽家。片側にしか葉のつかない芦。夜通し消えない蕎麦屋の行灯。区史はそれぞれの所在に諸説があると記し、置いてけ堀の場所も一つには定まらない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。