蟬谷のビールとバター笑話
どんな伝承か
蟬谷は街道筋から遠く離れた在所であるため、出原あたりの人たちが面白半分に語る笑話がさまざま伝わっている。蟬谷の人はビールというものを知らず、戦争中それが配給になったので燗をして飲んだという。またバターが配給になったところ、石鹸と間違えて洗濯に使ったが、ちっとも汚れが落ちなかったという。もとより蟬谷の人自身の与り知らぬ話で、新しい型の笑話が生れつつある例である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波木頭民俗誌――伝説・妖怪
『阿波木頭民俗誌――伝説・妖怪』は、阿波の木頭地方の民俗誌のうち、「八、伝説・妖怪」の節と、阿波の太布を論じた一篇を収めたものである。前半は北川・折宇・蟬谷などの平家落人の話、平家の皿泉、カマ(滝壺)の大蛇、山爺やアセゴノマン、フルソマ、怪火、狐、隣の槙山村の塚の伝説を、『郡誌』の記事と古老の話から述べる。後半は太布に関する文献を挙げ、祖谷と木頭での聞き書きと製品の調査から原料・製法・道具を記す。