清神社の森に棲む羽先の白い神烏
どんな伝承か
吉田町の清神社には、神の使いとされる烏がいた。雌雄はいつも社の森の奥に身を潜めて暮らし、よその鳥と群れることがなく、羽の先が白みを帯びていたという。旧暦正月四日にはこの烏にしとぎを供える習わしがあり、御とくい祭、鳥喰祭と呼ばれていた。宮島の弥山にも神鴉が一羽いて、島巡りの祭りの折に養父崎で波の上に供えたしとぎを取らせる「おとくいまつり」がよく知られている。こうした霊鳥は熊野権現の烏とも関わりがあり、太陽神の伝説に連なるものと考えられている。
原典より
吉田町清神社に居た神鳥で雌雄常に神林に隠れ棲んで外の鳥と遊ばず、羽の端に白を帯びていたという。—— 高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史)
『高田郡史 民俗編――伝説』は、広島県高田郡の郡史の民俗編のうち、伝説の部である。吉田町・美土里町・甲田町・八千代町・高宮町・白木町などに伝わる八岐大蛇退治、毛利元就の百万一心、弘法大師のいろは石、つきものを落とすというはりいぶきの枯木などの話を、土地ごとに取り上げる。多くの話に、かつて村々から提出された「国郡志下調書出帳」の該当記事を原文のまま並べ、古い記録と今の語りとを照らし合わせている。