つきものを落とす元就墓所の枯木はりいぶき
どんな伝承か
吉田町の毛利元就の墓所には、墓標として二抱えもある古木が立ち、はりいぶき(針伊吹)と呼ばれた。世にもまれな名木とされ、香りが強いので白檀だという説もあり、よしだめぐりは国内に二本しかなく、もう一本は鎌倉の建長寺にあると記す。頼山陽が文政十二年に参ったときにはすでに枯れていたが、この枯木に芽が出れば吉田に城ができて栄えると言い伝えられていた。元治元年に根元から芽が吹いて人々は喜んだが、それは樫の芽だった。枯木を守りとして持てば犬神やとうびょう、狐つきが落ちるといい、よそから求めに来る人が今も絶えないという。
原典より
この枯木をおまもりとしてもっていると、「犬神」「とうびょう」「狐つき」などのつきものがおちるというので、よそからもこれを求めに来る人が今も絶えない。—— 高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史)
『高田郡史 民俗編――伝説』は、広島県高田郡の郡史の民俗編のうち、伝説の部である。吉田町・美土里町・甲田町・八千代町・高宮町・白木町などに伝わる八岐大蛇退治、毛利元就の百万一心、弘法大師のいろは石、つきものを落とすというはりいぶきの枯木などの話を、土地ごとに取り上げる。多くの話に、かつて村々から提出された「国郡志下調書出帳」の該当記事を原文のまま並べ、古い記録と今の語りとを照らし合わせている。