大蛇を梅干しにして食った鬼彦
どんな伝承か
昔、青山彦二郎という度胸のある男がいた。ある年の五月、漆かきのために大野郡の山奥へ入ると、針金のような小さな蛇が後ろからついて離れない。彦二郎は、お前はきっと大蛇だろう、大蛇は大きくも小さくもなれるそうだから、手の上で梅干しになってみせろと言った。すると蛇は手に乗って梅干しほどに縮んだので、彦二郎はそれを口に放り込んでかみ砕いた。そのとたん山ほどもある大蛇の死骸が大きな音を立てて谷へ転げ落ちた。その後彦二郎の体から小さな蛇がたくさん出てきたが、彼はそれもすべて食べてしまったという。人々は彼を鬼彦と呼んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。