厄年の大蛇
どんな伝承か
ある男が嫁を貰って間もなく遠くへ出稼ぎに出たところ、嫁が難産で寝ているから早く戻れと便りが来た。急いで帰る途中、日が暮れて道端の小さな堂で仮寝をすると、夜中に神様が現れ、嫁も赤子も無事だが、その子が二十五歳になると大厄を受ける、しかし自分がついているから命は助かるだろうと告げて消えた。二十五年後、用水池の普請で若者が握り飯を池へ沈めると、池から大蛇が現れ、これまで何人もの若い男を引き込んで食べてきたが、握り飯をもらって慈悲深い心に触れたのでその気が失せたと礼を述べて水に戻った。両親は神の告げのとおりだと喜び、堂へ供え物を運んだという。
原典より
むかし、ある男あ、嫁を貰うてから、一か月も経たんのに、遠い所へ一人で出稼ぎに行ったと。—— 鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史)
『鹿島町史 通史・民俗編――伝説』は、鹿島町の町史通史・民俗編のうち、昔話と伝説の節と、続く「俗信と俚諺」の冒頭を収めたものである。石動山麓と邑知地溝帯の集落で聞いた話を、芋掘り権兵衛や屁売りじいさなどの昔話、亀塚や椀貸穴などの自然伝説、初瀬の観音様や井田の不動滝の信仰伝説、久江の道閑や村境を決めた話の歴史伝説に分け、在所名を添えて載せる。伝承の状況や語り始めと結びを述べた解説を前に置く。