神島の老翁が授けた瓶子と群来
どんな伝承か
姥神宮の由来は次のように伝える。いつのころか、素性も知れぬ一人の老女がこの浦に住み、雲を見て雨を知り、天を仰いで風を察し、山野海辺の四季の事どもを教えて一つも外さなかった。人々は慈母のように敬い、於憐姥と呼んだ。二月初めの夜更け、神島から光の橋が渡るように老女の草屋を射たので、光をたどって島へ行くと、白髪の老翁が巌の上にいて小瓶を授け、この白い水を海に注げば鯡が群来すると告げて消えた。教えのとおりにすると海は米のとぎ汁のように濁り、魚が押し寄せて舟に満ちた。老女はやがて行方を絶ち、人々は残された神像を姥が神と崇めて祠を営んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。