六十六匹の名馬と生き皮のおしら
どんな伝承か
金満長者は白い名馬三十三匹、黒い名馬三十三匹、合わせて六十六匹を飼い、なかでも千段栗毛はすぐれていた。二階から見物する姫に恋をした馬は、水も草も受けつけぬ病となり、五人の典薬も八人の伯楽も病を見立てられなかった。門前を通りかかった占い師が姫への恋煩いと告げ、姫が葛や薄を差し出すと馬は膝を折って食べた。長者は馬を厩から引き出して生きたまま皮を剥ぎ、唐天竺へ張った。姫は嘆いて病み、九月十六日の伊勢神明の神楽見物に出て桂の大木に腰かけると、天竺から馬の声がし、五色の雲に乗って皮に包まれ天へさらわれた。のちに桑を餌とする虫が現れ、しら神十六善となったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。