乳瘤に祈る元町の姥杉
どんな伝承か
姥杉は知内村、いまの知内町字元町にある姥杉神社の旧跡に立つ。周囲十二尺、全長十三間で、幹の十尺ほどの高さから枝が分かれる。東北を向いた地上三尺の位置に乳房のような瘤があり、人はこれを乳瘤と呼ぶ。樹齢は四百余年と見られる。乳の足りない者が乳児を懐に抱いてこの杉に祈願し、供えた米を持ち帰って炊いて食べると、たちまち乳の量が増すと言われ、近隣の村民は深く信じている。文応年間に本村の神宮大野重一の妻の遺骨を埋めた場所へ記念として植えた樹で、村人は姥神と称して祀ってきた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。