稲庭の名を残した大男の若勢
どんな伝承か
稲庭に、背丈が六尺もある風変わりな男が日暮れに現れ、婆さまに奉公先の世話を頼んだ。八俵若勢、十俵若勢は珍しくないが、この体つきなら十二俵若勢でも通ると評判になり、大百姓たちが争って雇いたがった。男は一年の報酬に「稲ひとしょい」だけを望み、毎日毎日藁を打っては太い荷縄を綯い続けた。約束の一年が明けた晩、男は綯いためた縄で稲のにおをいくつも括り、それをひと背負いにして担いで去った。米二十俵三十俵ではきかぬ量であったという。担ぎ上げるとき引き抜けて落ちた稲が二把、それでこの部落を稲二把、稲庭と呼ぶようになった。いまも大食の者を三吉さまのお使いだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第2巻』所収の「文化叙事伝説」64話(岩手・宮城・秋田)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。