鷹が運んだ百合若大明人の危機
どんな伝承か
百合若大明人という侍が四十八匹の鷹を飼い、世話は奥方の仕事とされていた。中に一匹きかない鷹があり、奥方に憎まれて満足に餌を与えられずにいた。ノノダケ方面に現れた悪者を退治しに出た大明人は、勝ったのち疲れて寝込む。家臣の文武の太郎は主を捨てて帰り、奥方を押し込めて威張っていた。奥方はきかない鷹の足に手紙と硯筆を結んで放つ。やがて乞食同然の姿で戻った大明人は、弓の稽古をする文武の太郎の前に現れて名乗り、一矢で射倒した。奥方は鷹の働きを認め、以後は普通に餌を与えたという。
原典より
昔、今の三浦宰さん宅、そこに百合若大明人と云うおさむらいがおったとさー。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。