田代潟へ夜ごと通うきよ子
どんな伝承か
日照りが続いて田の水がかわくと、森岳や山口の人びとは、はるばる山路をたどって二ツ井町の田代潟へ雨乞いに行ったものである。いつのころか山口に池内家という郷士があり、そこにこの世の人とも思えぬ美しい姉妹の女中がいた。姉のきよ子は十八で、気立てもやさしく仕事も熱心で誰もがほめたが、あるころから部屋の隅で居眠りをするようになり、次第に顔も青ざめていった。ある真夜中、主人はきよ子がそっと裏口を出て行くのを見て、若い下男二人に後をつけさせた。きよ子は水鏡で髪を整え、飛塚の坂を下り、豊岡の村から白間台を過ぎ、鏡井戸で念入りに化粧をして、山路を走り濁川を越えていったという。
原典より
<柳田―「おとわの池」〉日照りつづきで田の水がかわくと、森岳・山口の人々は、はるばる山路をたどって、二ツ井町の田代潟に雨乞いに行ったものである。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第2巻』所収の「文化叙事伝説」64話(岩手・宮城・秋田)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。