酒の泉を清水に変えた妻
どんな伝承か
昔、泉八日に貧乏な男がいた。働き者で近所づきあいもよく、褒めない者はいなかった。ところがある日から、日の高いうちに酒に酔って家へ帰ってきては、妻が何を聞いても事情をいわずに寝てしまうようになり、田畑が荒れてしまった。思案に余った妻は、夫が出かけるとその後をつけた。夫は松杉の繁ったうす暗い林の中に入っていく。踏みつけた跡をたどると、太い杉の根方に酒の泉が湧いているのを見つけた。妻は、この酒がある限り夫は怠け者のままだと考え、赤子のおむつを持って来て酒泉につけ、泉をただの水に変えてくれるように神に祈った。八日目に泉は清水になったという。今も村の中ほどに湧泉神社がある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。