首を切られた娘が育てた子
どんな伝承か
老夫婦にお鶴という年頃の娘があった。夏の日、扇を買いに来た三人の武士の一人に娘が「ほれ」と言って扇を渡すと、仲間から乞食のようだと笑われた武士は腹を立てて引き返し、娘の首を切り落とした。嘆く老夫婦に頼まれて武士は家督となり、夜ごと位牌の前で経を読むうち、いつしか娘が現れて男の子が生まれた。娘の頼みで毎朝墓前に六文を供えると、死んだお鶴が菓子や飴を買いに来ると噂が立った。三晩目に老夫婦が声をかけると、お鶴は線香の煙の中に消えた。その子は長じて岩手の奥の正法寺を開いたという。
原典より
<高木——「頭白上人」柳田——「赤子塚」「竜泉寺」>むかし、むかし、おじいさんとおばあさんにお鶴という年頃の娘が一人おりました。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第2巻』所収の「文化叙事伝説」64話(岩手・宮城・秋田)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。