早く撞かれた暮六つと千把が池
どんな伝承か
成田市松崎の話。この村の名主の家に、お鶴という働き者の奉公人の娘がいた。ある田植えの日、主人は、暮六つまでに千把の苗を植えられたら良い婿を取らせ、その田もお前にやろうと言った。お鶴が懸命に働いて刻限より早く終わりそうになると、見回りに来た名主は田を取られては大変と、まだ早い時刻なのに暮六つの鐘を撞いてしまった。落胆したお鶴は急死し、その夜、彼女の植えた田は落ち込んで池になった。これが千把が池で、ほとりの弁天はもとはお鶴の墓だという。股のぞきで日を見て力を誇った瞬間に天罰を受け、田へ頭から倒れて死んだとする伝えもある。
原典より
昔、この村の名主の家の奉公人に、お鶴という働き者の娘がいた。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。