淵から来た童ウントクの授けた富
どんな伝承か
奥州市江刺に伝わる話。ある爺が毎日山へ行き、淵のほとりで柴を刈っていた。淵の水がくるくると渦を巻くのが面白く、柴を一束投げ込むと見事に沈んだ。面白がって次々に投げ込むうち、三か月ほど刈り置いた柴をすべて沈めてしまった。すると淵から美しい女が出て柴の礼を言い、爺を淵の底の屋敷へ招いた。馳走を受けて帰る時、気高い老人から醜い童を無理に押し付けられた。童はウントクと名乗り、座敷の奥の誰も気の付かぬ所に置けば好い運を授けると言う。そのとおりにすると爺の家はたちまち富み栄えたが、訳を知らぬ婆が童の頭を箒で打って追い出してしまい、爺婆はまた元どおりの暮らしに戻ったということである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。