喋った婆を襲った浄瑠璃語りの猫
どんな伝承か
米岡の八軒小路の川村という家に、毛が艶やかな真っ黒い猫がいた。稲刈りの済んだ秋、村中が町の浄瑠璃小屋へ出かけ、八十過ぎの婆さんが一人で留守番をしていた。縁側で居眠りしていると猫が肩に前足をかけ、耳もとで名を呼び、淋しかろうから浄瑠璃を語って聞かせると言う。猫は畳の縁に爪を立てて三味の音を出し、見事な声で一節語ったのち、誰にも喋るなと念を押した。夜、家人が戻ると婆さんは我慢できずに小声で話してしまい、障子を開けて飛び込んだ猫に喉笛を食い切られたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第2巻』所収の「文化叙事伝説」64話(岩手・宮城・秋田)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。