中田沼の鴨に運ばれた馬鹿息子
どんな伝承か
あるところに馬鹿息子がいた。用事ができて嫁の家へ行き、嫁の母から小遣いにと小判を十枚もらった。帰り道、中田沼まで来ると鴨がたくさん泳いでいる。小判を一枚投げつけるとうまく当たり、面白くなってありったけを投げると、みな当たった。よい土産ができたと鴨を集め、帯のまわりに首をはさんで並べたところ、一羽が急に羽ばたき、鴨がみな目を覚まして飛び立った。息子ははるばる正法寺まで連れて行かれ、大杉のてっぺんに落とされる。和尚たちが大風呂敷を広げて受け止めると、たるんだ拍子に坊主頭がぶつかって火が出て、正法寺が焼けたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。