妙多羅天女となった弥彦の鬼婆
どんな伝承か
弥彦神社の北にある真言宗紫雲山宝光院の阿弥陀堂には、妙多羅天女の像が安置されている。天女はもと弥彦神社の鍛冶、黒津弥三郎の祖母であった。承暦三年の社殿造営の折、上棟式の順を工匠と争って庄司吉川宗方の裁きに敗れ、恨みのあまり悪鬼と化す。庄司や工匠に祟り、諸国を飛び歩いて悪行を重ね、弥三郎の狩りの帰路を襲って右腕を切り落とされた。八十年のあいだ弥彦の鬼婆と恐れられたが、保元元年に高僧の教化と印璽を受けて改心し、妙多羅天女として子どもを守る神になったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。