猿が赤子のやけどを癒やした湯
どんな伝承か
三国峠の麓に炭を焼く夫婦が住み、赤ん坊が一人あった。ある日、山で親にはぐれた小猿を拾い、手の先が白いので手白と名づけてかわいがった。夫婦が山仕事に出た留守、手白は赤ん坊を湯に入れようとして、熱い湯をうめることを知らずそのまま浸け、大やけどを負わせてしまう。叱られた手白は赤ん坊を連れて姿を消した。のち山中の湯気の立つ穴で、多くの猿に囲まれてやけどの癒えた赤ん坊が見つかる。これが猿ヶ京温泉のもとで、手白のいた猿沢では今も湯が湧くという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。