淵の肉を食べて長生きしたみよ
どんな伝承か
小川の所久保に清治という男がいて、近所の者が集まってお日待ちをしていた。ある晩、見知らぬ男が仲間に入れてくれと来たので加えたが、宿の順が回ってきたその男は、清治だけを誘って利根川の淵へ連れて行った。目をつぶっていろと言われるまま淵の中へ入り、どれほど過ごしたかは分からない。帰りぎわに肉の塊のようなもの、人魚だともいうものをもらい、みなに分けろと言われた。ところが二、三歳の娘みよが、棚に上げてあったそれを一人で食べてしまう。それからみよは、ほかの者が死んでも生き続けるほど長生きした。長すぎる齢を持て余して諸国を巡り、最後は若狭の小浜で亡くなったと伝える。
原典より
小川(利根郡月夜野町)の所久保に清治という男がいた。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。